思い信じ揺らぐ時 おもいしんじゆらぐとき


青い海の中にたくさんの命があり
陸にもたくさんの命がある

そして、空の上にもたくさんの命がある・・・

その命をなくしてしまったら何が残るのだろう?

今の私達を生み出した星はどう思っているのだろう?

人だけのモノではない星

彼らは私達の事をどう思っているのだろう・・・

夜空の中、海風を受け
備え付けられているベンチに腰を下ろし光る星を見上る。

『詮索する時間を少なく出来ればいいな
 と、思いまして・・・』

ウソを言った。

本当は会いたかっただけ
それらしい理由を付けて会えれば良いと思った。
連合のパイトットとなってしまったキラ
ザフトの赤を着ているアスラン

教育係として付いてくれたから
連合とザフトの仕組みを聞いた時
自分を助けてくれたアスランが何の為にヘリオポリスに居たのかが解った。

その事を知ってから毎日『無事でありますように』と祈った。
祈りながら過ごす中、キラがアークエンジェルに乗りストライクの操っている
との情報が入り、

キラとアスランが無事でありますように・・・
そして、戦場で会いませんように・・・

祈りは増え、願った。

だが、叶わなかった。

潜入してきたアスランはアークエンジェルを探していた。

ザフトに渡ったMSのどれか1つにアスランが乗っている・・・

昨日会ったキラも、今日会ったアスランも
その事を言わなかった。

哀しかった・・・
仲間はずれにされた様な哀しさが体中を支配した。

哀しさと同様に
2人にとって自分はそれだけの存在なのだと思い知らされた。

でも、
いきなり現れた身元も解らない自分を信用出来ないのも解る。

だよ。』

キラの優しさに漬け込んで無理やり言わせた言葉

偽りでも、心が篭ってなくても自分の存在を認めて欲しかった。
一緒に過ごした事を認めて欲しかった。

『何も心配いらないよ』

たぶん、泣き出しそうだった自分を励ますつもりで言った
心の無い言葉でも嬉しかった。

キラの優しさに包まれた気がして、本当に嬉しかった。

そして、任務で来ていたアスランの手を引き
母親を見せたのも、自分がここに居る事を記憶に残してもらう為

戸惑い、困惑するアスランを引きずり回し
挙句の果てにワガママを言った自分に笑いかけてくれ、怒ってくれた。

アスランの優しさにも漬け込んだ自分

自分のエゴだと解っていても、トモエではなくとして
見てくれる人を手放したくなかった。

暖かな温もりを与えて欲しかった・・・

大好きな2人を自己満足の為に使った・・・
こんな醜い自分は嫌われて当然なのに
それでもウソ付き、立場を隠した。

知れば、笑いかけてくれない

思いが支配し、重りとなり動けなかった・・・・

こんな私を、キラとアスランは許してくれるだろうか?
また、微笑みかけてくれるだろうか?




真っ暗な部屋で備え付けられたベットに横になり
目を閉じ、昨日あった温もりを思い出す。

ヘリオポリス崩壊後から会えなくて、
どこかでケガをしていないだろうか?
体調を崩し苦しんでいないだろうか?

我慢するが心配で、
小さな物音が聞こえたら振り向き存在を探した。

ダレよりも大切な人だから・・・

大切だからこそ今の僕を見せるのがイヤだった。

ストライクに乗り、友達だったアスランの敵になった。

それだけじゃない。
人が操るMSを何体も壊した。

爆発と共に消えるモノ

いくつも消してきた僕はの横にいるのは相応しくない。
それだけではなく、一緒に居るだけで汚してしまうかもしれない・・・

汚してしまい、もう笑かけてくれないかもしれない

思うだけでゾッとし、冷や汗が流れ
呼吸出来なくなってしまうぐらい胸が締め付けられた。

でも、は微笑みかけてくれ
僕に気を使って、楽しい話をイッパイしてくれた。

手を繋がれた時、汚してしまうと思い手放したが
本当は離したくなんて無かった。

手だけではなく、抱きしめて、の優しさに包まれたかった。

『さっきまでアストレイトの整備してたから
 お兄ちゃんの手より私の手の方が汚れてるかも・・・』

ストライクのパイロットをしている事を知っているはずなのに
軽蔑する事も、差別する様な視線や態度を取る事も無く
無邪気に言う言葉と態度が一緒に住んでいた時と同じで
嬉しくて涙が出そうになった。

そして、すぐに手を離してしまった事を後悔して
繋ぐと驚いた顔をしたけど嬉しそうに笑ってくれて
今が現実で、パイロットとしての僕は夢の人物ではないかと
思えるぐらい幸せだった。

笑いながら嬉しそうに話しをしているを見ていると
シモンズ主任とカガリの言葉を思い出した。

さんを少しでも甘やかしてあげる事ね。
 ・・・色々あったのよ』

『お前にもココまで色々あったんだろ?
 にだって色々あったって不思議じゃないだろ』

だから気になって聞いてみたのに
なんでもない
なんて笑いながら返されても、信じらない。

はいつも我慢をして何も言わないから
僕から無理やり聞きださないと弱音を言わないから聞き返すと

『ヘリオポリスから非難する時に怪我をして
 それで・・・その、手術をしたの・・・・』

苦笑するの言葉にビックリした。
僕と違ってはナチュラルだ

違う、母さんが
『ナチュラルだろう』
て、言ったんだ。
僕もソウだと思う。

だから、心配なんだ。
それなのに手術をしただなんて言うから
さっきまで、ドコにも傷があって痛がってるなんて見えなかったから・・・

違う
僕が自分の事ばかり考えていて
の事をちゃんと見てなかったからだ。

だから、気が付かなかった。

情けない

自分がイヤになった。

大切なのに、大事な人なのに
それなのには情けない僕を攻めないで
優しさと温もりをくれた。

気持ち良さそうに寝息を立てているは暖かくて
心から欲しかったものを無条件にくれるから
手放したくなかった。

少しでも覚えていたくて抱きしめて寝たんだ。

汚れてしまった僕は
少しでも綺麗になりたくてを求めた。

そして、敵となったアスランの事を言わなかった。

こんな僕をは許してくれるだろうか?
また、手を繋いで微笑んでくれるだろうか?




人工的な光が照らし出す部屋の中、
海の中でも地球に居る為に重力を感じる。

イスに座り、デスクの上に報告書を書く為に
資料を見ていたがまったく頭の中に入ってこなかった。

『あのね、本当のお母さんがいるの・・・
 ココに・・・』

引っ張られ連れて行かれた病院内にいた
車椅子にのる女性に戸惑いながら話しかけるの姿が
気になった。

本当のお母さん

を生んだ人は
力なく微笑む人だった。

そして、連れて行かれた部屋は生活感を感じるにも
どこか寂しい雰囲気を出していた。

おじさん、おばさんとは一緒に住んでいなかった・・・

オーブに来てから何かあったのかもしれない。

確かに、本当に家族と過ごした方がにとっては良いはずなのに
嬉しそうな感じはしなかった。

はあんなに笑わない子だっただろうか?

思い出しても笑顔しかなくて、
時々、生意気な事を言ってキラを注意してた。

がおばさんのマネをするのは微笑ましかった。

笑っている所しか思いだせない。

俺を見て、嬉しそうに笑ってくれ
ディアッカの言葉に怖がって後ろに隠れた時

まだ俺の居場所がの中にあるのだと安心した。

ヘリオポリスの時に、流れ弾に当たって
キズが出来、痛いハズなのに、笑いかけてくれ
俺の心配までしてくれた・・・

そうだ
熱を出して、苦しくても大丈夫だと笑っていた。
心配させる事を酷くイヤがった。

だからこそ、余計に心配になり
良く過保護だと、母さんに笑われた。

月で別れる時は、キョトンと俺の顔を見ていて
トリィを見て嬉しそうに笑って
が動くと、首にかけられたペンダントの鐘が音を鳴らし
離れていた所でも存在を教えてくれた。

繋がれた手から暖かさを感じなくても
鐘の音を聞くだけで優しい気持ちになれたんだ。

暖かくて、優しくて、真っ白
どこも汚れた所が無くて・・・・・

今日だって、は暖かくて、優しくて真っ白だった。

だからこそ、軍に入った俺が横に居るだけで、
イヤ、見ているだけで汚してしまう気がして

それなのにはこんな俺に居場所を与えてくれ
月に居た時の様に、笑いかけくれ、甘えてくれた。

正直、アノ時に戻れたようで嬉しくて
今ある現実が幻の様に思えた。

逃げだと言われても
その、暖かさと優しさに包まれていたかった。

自分の居場所が欲しかった。

都合が良いと怒られても、嫌われても
暖かさと優しさを感じられる居場所が欲しい
と、言ったらはドウ思うだろうか・・・

嫌われるだろうか?

イヤ、その前に軍にいる俺をどう思うだろう?

敵になってしまったキラの事を言わなかった・・・

そんな俺をは笑いかけてくれるだろうか?
居場所を作ってくれるだろうか?


闇の中から光が溢れ世界は朝を迎えた。


白い軍服を着て
デスクで仕事をこなし、に確認をして貰い
合格が出ると、また新たな提出する為の文章を作り上げる。

今日は、アークエンジェルにもモルゲンレーテにも行かず
デスクワークをこなし、早朝に就航予定をしているアークエンジェルの為
偽造演習の書類を作っているのだ。

ザフト艦の影を見えなくなったからと言って
アークエンジェルだけで外に出す事はしない。

とのウズミの言葉に頷き、こうして書類を作っている。

フッとキラとアスランの事を思い出したが
頭を振り、消し去るとキーを叩いた。

カタカタとキーを叩く音が部屋に響く中

「くしゅん!」

のクシャミが聞こえ

「少し寒いですか?」

イスから立ち上がり、の前へとくるが

「いえ、寒くはないのですが・・・」

首をかしげ答えると

「もしかしたら、
 どなたかに、おウワサをされているのかもしれませんよ」

微笑すると、も頬を緩め

「ウワサですか?
 良いウワサだったらいいですね」

言葉を返すと

「では、良いウワサが立つ様に
 頑張って仕事をして下さい」

「はい・・・」

微笑み合っていたが、の言葉に
が気落ちした声で返すと、再び部屋にはキーを叩く音が響いた。

のくしゃみをする寸前
アークエンジェルのブリッチでサカキとマリューを始め
ナタル、ノイマンが話しをしており

『ウズミ様も無理を承知で、今も踏んばっておられる。
 そして、次をになう者も負けじと頑張っている』

サカキの言葉に、マリュー達は軍服を着たを思い出した。

そんな事を知らないはくしゃみをし
との会話へと繋がるのだ。

「お疲れ様でした。
 少し休憩を入れましょう」

手渡れた書類を1枚1枚確認し、休憩をしょうとの言葉に
は張り詰めた気を抜き、頷くと

「私はこの書類を提出してきますので」

に背を向け部屋を後にすると、
使っていた大きな机にうつ伏せになる様に倒れこみ
ため息を付くが、イスから下りると
備え付けられているティーセットを出し
紅茶を入れる用意をし、の帰りを待つ。

この後は確かフリーだったはず・・・
どうしょうかなぁ・・・・

ソファーに座り、考える
と、黒髪の女性が思い出す。

ナタル・バジルール中尉かぁ・・・
優しい人だよねぇ・・・

ナチュラルばかりの艦で
只1人のコーディネーターのキラの事を心配した人

言う言葉は硬くて誤解を受けやすいけど
実は凄く優しい人なんだと思う。
正軍の人で地位があるから簡単に表には出せないのかなぁ・・・

もしかすると、ラミアス艦長より優しいかも・・・
あ、でもラミアス艦長も艦長の立場から技術提供をする事を選んだんだし
どうなんだろう?

出来ればバジルール中尉かラミアス艦長と話かしてみたいんだけど
無理だよねぇ・・・

言ってみるだけ、言ってみようかなぁ・・・

決意を決め、の帰りを待つと
半時立つ頃にノックが聞こえドアが開き
が入室するとも立ち上がりティーポットへ湯を注ぎ
琥珀色になるまで待ち、その間に暖めたカップへと注ぐと
部屋中に紅茶の香りが広がる。

ストレートでの前に出し
は自分用にミルクティーを入れ
ソファーに座ると、2人同時にカップに口を付けノドを潤す。

「トモエ様のお入れになる、紅茶は本当に美味しいですね」

微笑みながらの褒め言葉に

「そうですか?
 ただ、教えて貰った通りに入れているだけなんですが」

嬉しそうに微笑み、手に持っていたカップに口を付ける。

「えぇ、美味しいですよ。
 私が入れたモノとは大違いですから」

始めの頃は、がお茶を入れていたのだが
危ない手付きと毎回味の違う紅茶を飲んでいた。

眉間に皺を寄せ、自分の入れた紅茶を飲んでいる姿を見て

初めて入れたのかなぁ・・・
男の人だし、自分で自分の飲むお茶は入れないか・・
だったら・・・

が入れ始めてから、は眉間に皺を入れる事無く
いつも、美味しいと褒めながら飲んでいた。

聞けば、入れるのも初めてながら、
ティーポットを触るのすら初めてだったのだとか・・・

苦笑しながら誤ってくる
日頃の礼をしてが紅茶を入れ始める日が始まった。

本日も、褒め言葉を頂き休憩時間を過ごしている。
そんな中

「あのさん、これから私はフリーなんですよね?」

「えぇ、そうですよ。
 アークエンジェルの件もザフトの件もひと段落しましたからね」

の言葉に、は手に持っていたカップを置き
律儀にスケジュール帳を開き答えた。

「それでですね、
 私、アークエンジェルを見てこようかと思うのです」

「アークエンジェルをですか?」

の視線が合うと

「ラミアス艦長かバジルール中尉と話がしてみたくて・・・」

「話ですか・・・・」

が考え込んでしまい
ドキドキしながらは答えを待っていると

「解りました。
 何か理由を付け、この部屋へ来て頂きましょう」

言葉を言い終わると、
はすぐさまアークエンジェルへと連絡を入れると
バジルールがすぐさま出頭し
の願いは叶った。

「お忙しい所、お呼びして申し訳ありません」

立ち上がりナタルを迎えると

「いえ、
 アークエンジェルについてとの事でしたので」

敬礼し、が座る様に促し腰を下ろす。

「予定では明日中ですが、どこか不備はありませんか?」

穏やかに笑いながら問いかける

「その様な報告は受けておりませんので、
 ご安心下さい」

ナタルの人柄を表す、凛とした声で返され

「そうですか。
 何かありましたら、おっしゃって下さい。
 すぐに手配いたしますので」

子供らしい高い声で返すと

「有り難うございます」

形式に当てはまる言葉で返されるが
にとっては1番話したい人物と話が出来
たとえ形式通りの言葉すら嬉しかった。

「バジルール中尉、
 この後、少しお時間ありますか?」

の言葉に

「と、申されますと?」

少しキツイ視線をに送るが
嬉しさが勝っている今のには関係なく

「私、ご覧の通り勉強中の身ですので
 もし宜しければ、お話しをして頂ければと思いまして・・・」

「自分がトモエ様のお相手をですか?」

相変わらず緩む事の無い視線をに向けるが

「はい。
 お願いできますか?」

もし・・なんて言えば断られ事は解っているので
是を言う様に言葉を作る

「解りました。
 お相手させて頂きます」

いくらナタルより歳は下と言え
立場が上であるの言葉を逆らう事は無く
ナタルの答えが出ると

「有り難うございます」

礼を言いすぐさま問いかける。

の問いにナタルが答える。
その答えに疑問点が出ればが問い返し
ナタルの細かな説明が付けられた。

細かな解説を付けられ答えを導かれるように
が答えを出すと、ナタルは頷く。

どんな小さな問いかけにも
ナタルはイヤな顔一つせず律儀に答える。

集中しているが戻ってきた事に気が付かず
運ばれてきたケーキが机に置かれ、

「そろそろ、休憩を入れられませんか?」

耳に入ってくる、低い声に気付き
ナタルから視線を外すと

「バジルール中尉は、どのケーキがお好きですか?」

微笑みながらのの問いに
戸惑いながら

「いえ、自分は・・・」

結構だと言う前に

「お礼で用意したのです。
 是非召し上がって下さい」

の言葉が被せられ

「甘いのはニガテですか?
 でしたら、コレなど如何でしょうか?」

さらに問うの言葉に

「では、そちらを頂きます」

押し切られ、観念すると
に進められたケーキを受け取るが

「バジルール中尉は、何を飲まれますか?
 コーヒーですか?それとも紅茶ですか?」

「あ、いえ、トモエ様と同じモノを・・・」

ペースを乱され、戸惑いながら答えるナタルに

「そうですね、
 テラミスですからコーヒーの方が良いですね」
 
呟くように言いソファーから立ち上がり
お茶の準備をする為、席を外すと

「トモエ様のワガママを、お聞き願い有り難うございます」

入れ違うように、が座りナタルの話かける

「いえ、自分は出来る事をしたまでですので」

恐縮するナタルに、が目を細め

「トモエ様には良い勉強になった様で、
 教え方がお上手ですね」

「自分は聞かれた事を返しただけです」

真顔ながらもどこか不思議そうにしていると

「その事が中々出来ないんですよ」

微笑み返されるが
がカップを持ち現れたため
が立ち上がり、から受け取ると
ナタルの前に置き

「トモエ様の入れられるコーヒーは美味しいですよ。
 バジルール中尉にも気に入って頂ければ嬉しいのですが」

穏やかな表情と言葉に
返事が出来ずにいると、が席に付き
その隣にが座ると、ケーキが加わったお茶会が始まり
の問いに
戸惑いながら答えるナタルの姿があった。




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        第11話
            
            前半シリアス・後半明るい・・・
            なんともオカシナ話になってしまいました・・・・
            ナタルさん・・・大好きです。
                                                  2003 10 3